もう一度、君と恋をするために
「どうしたの?」

三浦さんが私の顔を覗き込んだ。

「ちょっと、知り合いに会って。」

「へぇ、そうなんだ。」

変わらず穏やかな声。
まっすぐな目。
気づかないふりをしてくれる、やさしい人。

私は、その優しさに甘えていた。

逃げるように、前を向いた。

それが“未来”だと思い込みたくて。

仕事を終えて、ビルの外に出た時だった。

ふと目に入った人影に、思わず足が止まる。

「悠一……まだ帰らなかったの?」

暗がりの中に佇む彼は、いつになく静かで。

「……真白を待ってた。」

そう言って、歩き出す。

待ってた? 私を?

意味を考えるより先に、私は自然と彼の後ろを歩いていた。

「今日さ、昼に一緒に歩いてた男。」

唐突な言葉に、私は一歩遅れて答える。

「……三浦さん?」

「経理部のやつ、だよな。……どんな関係?」

まるで、浮気の問い詰めみたいで、思わず苦笑いがこぼれた。

「何それ。気になる?」
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