もう一度、君と恋をするために
胸の奥が、ドクンと鳴った。

本気なの? 冗談じゃなくて?

迷っている私の気持ちに、まっすぐ答えを差し出すみたいに。

「明日、仕事終わったらビルの前で待ってます。」

そう言って去ろうとした彼の腕を、私は思わず掴んだ。

「……あの、彼氏になりたいって、本気なんですか?」

私の問いに、彼は静かに微笑んで、

そして次の瞬間、私をそっと抱き寄せた。

「本気じゃなかったら、毎日会いに来ないでしょ?」

その言葉に、返す言葉が見つからなかった。

彼の腕の中、優しさと熱が混じった体温に包まれて、私はただ、静かにまぶたを閉じた。

廊下を曲がった瞬間、勢いよく誰かとぶつかった。

「痛っ……」

「ご、ごめん!」

顔を上げると、そこにいたのは悠一だった。

彼は、ぶつかってきた本人なのに、なぜか楽しそうに笑っていた。
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