もう一度、君と恋をするために
オフィスの中にある会議室で、私たち3人は、新しく立ち上がるプロジェクトの概要を確認していた。

「面白そう。ええっと、予算は……けっこうありますね。広報は外注ですか? あ、ここのデータ、過去案件も参考になりそうです!」

美波ちゃんがページをめくりながら、次々とメモを取っていく。若さの勢いと前向きさが眩しくて、私は思わず微笑む。

「ただ、この書類の向こう側に、クライアントの夢があるということを忘れてはいけないよ。」

ふいに、悠一が静かに言った。

その瞬間、胸の奥で、ドクンと音がした。

──ああ。
悠一は、変わっていない。

仕事への姿勢も、言葉の重みも、そして誰よりも“相手のため”を優先するそのまなざしも。

私が惹かれたのは、きっとこういうところだった。

「クライアントファースト、ですよね。」

私は小さく呟いたつもりだったが、隣の悠一が一瞬だけ私を見て、ふっと笑った。

それが、あまりにも懐かしくて。

目が合ったのはほんの数秒だったのに、時間が巻き戻されたような錯覚すらした。

でも、それはあくまでも“仕事の一環”に過ぎない。

私たちは、もうただの“同僚”なのだから。

「……じゃあ、役割分担を整理しようか。」

私は気持ちを切り替えるように、ノートを開いた。

もう、仕事に恋を持ち込むような不器用さは卒業したはずだった。

――それなのに、どうしてこんなにも、心がざわつくんだろう。
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