もう一度、君と恋をするために
会議が終わり、私は自分のノートを片手にコピー室へ向かった。

会議中に走り書きしたメモ。内容を整理しながら、要点だけをまとめてコピーする。

このメモが、少しでもプロジェクトの進行に役立てばいい。

そして、主任の悠一にも渡すつもりだった。

──それは、昔から変わらない癖だった。

私たちは、そうやって息を合わせて、仕事を進めてきた。

ガチャリ、と音がして、誰かが後ろから入ってくる気配がした。

その一瞬の間に、心臓がひときわ大きく脈打つのがわかった。

たった一度、触れただけで。

こんなにも、体が反応してしまうなんて。

「ごめん、俺が……」

悠一が屈んで、コピー用紙を丁寧に拾い上げた。

そして、私にそっと手渡してくれる。

「ありがとう。」

静かな声でそう言ったのは、私だったのか、彼だったのか。

どちらの言葉も重なって、音のない空間に落ちていった。
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