もう一度、君と恋をするために
すべてが“もう、終わった”という事実を肯定しているようで。

……やけに、大人びて見えた。

3か月経った。季節も少し変わった。

でも、彼の背中に追いつけない自分がいる。

「……慣れないな。」

ぽつりと、誰にも聞こえない声が、デスクの上に落ちた。

家に帰って、カバンをソファに投げ出す。

ようやく靴を脱ぎ、リビングの電気をつけると、スマホの通知が目に入った。

「1年前のストーリーを振り返ってみませんか?」

何気なく開いたその画面に、写真が次々と映し出される。

──半年前の旅行。

悠一と一緒に訪れた温泉地。

川沿いに咲く桜、部屋の露天風呂、食べきれないほど豪華な会席料理。

二人並んで写るセルフィーは、何度も笑い直して撮ったものだった。

その夜、寄り添うように眠った彼の背中の温もりまで、昨日のことのように思い出せる。
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