深夜一時、突然始まる宝探しゲーム
「ちょ、ちょっと待って下さい! そこまで心配しなくても私ももう社会人ですし……」

「警戒心が強いに越したことはありませんし、社会人だから大丈夫なんて言う油断が一番良くないと思います」

日野さんは仕事が出来る人なので正論の威力もそれはまぁ強い。

しかもこう言う時だけ口下手はどこに行ったと言うレベルではっきりと喋る。それくらい心配してくれているのだろうが、つい怖気付いてしまう。

「いや、まぁ実際一緒に宝探しゲームをするので大丈夫になったわけですから良いじゃないですか」

(たしな)めようとしたつもりがそれで私は日野さんの何かの引き金を引いたらしい。


「分かりました。坂下さん、宝探しゲームは勝負でしたよね?」


「え?」


「もし僕が勝ったら自己防衛意識を高めて、これからは深夜に一人で歩こうと思わないで下さい。それと僕の小言を十分(じゅっぷん)間、聞いて下さい」


シンプルに小言十分間が一番嫌である。
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