夢の続きを、あなたと
「いくらした? 私の分、払うよ」

 私はそう言いながら、バッグの中から財布を取り出すと、雄馬はそれを制した。

「いいよ、これくらい。きちんとした店で食事する訳じゃないし。今度またこんな機会があった時に頼むよ」

「そう……、じゃあ、遠慮なく」
 
 ここで押し問答しても、きっと雄馬は引かないだろう。
 私は雄馬に気付かれないよう小さく溜め息を吐くと、言われるがままソファーに腰を下ろした。

「買ってきてからまだそんなに時間は経ってないから、あったかいうちに食べようぜ」

「そうだね、ありがとう。……いただきます」

 私たちは、目の前に置かれた弁当に手を付けた。
 雄馬が言うように、お弁当は温かい。熱々だと食べづらいけれど、ちょうどいい温度だった。

 買ってきてくれていたお弁当は、ハンバーグ弁当。
 私が学生時代によく食べていた、あのコンビニの、あのお弁当だ。

「……覚えていてくれていたんだね、私の好きなお弁当」

「そりゃ、覚えてるよ。美月、こればっかり食べていただろう」

 雄馬はそう言ってちょっと笑った。
 その表情が、あの頃を思い出す。

「懐かしいな……」

 私はそう呟くと、黙々とお弁当を食べた。

 お弁当を食べ終えると、雄馬は空いた容器を先ほどのナイロン袋の中にまとめて入れ、それをアトリエ内のごみ箱の中へ捨てに行くため席を立つ。
 私はその間に使っていないお手拭きでテーブルの上を拭くと、近くにあるゴミ箱の中へ捨てた。

 用意してもらっていたペットボトルのお茶に口をつけ、ようやくひと息ついた時、雄馬が何かが入った箱を手に持って戻ってきた。

「じゃあ、本題に入ろう。今日、ここへ美月に足を運んでもらった理由」

 そう言って、雄馬は箱のふたを開けた。
 その中に入っていたものに、私は目を奪われる。
 それは――
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