夢の続きを、あなたと
「……個人で、って……それって、受注を?」

「うん。個人の作品として、アルファクラフトと契約する。会社じゃなくて、俺個人で」

 ――それはつまり、雄馬が、再び『私』と仕事をする、ということ。

「でも……それって、大変なんじゃない? 家具の仕事だってあるし、休む暇なくなるよ?」

「平気。……いや、正直言えば、楽じゃない。でもさ、美月の企画を聞いたとき、俺、自分の中でまた火が点いたんだよ。ああ、こういうのがやりたかった、って」

 雄馬はそこまで言うとひと呼吸して、再び口を開いた。
 
「俺、実は来年三十になるのを機にここから独立するつもりなんだ。家具職人として、いろいろ学ばせてもらったことを活かして、ここ、こもれびと同じように完全受注の手作り家具職人になる」

 そう言って、雄馬は私に企画書を見せた。
 昨日と逆で、雄馬側のプレゼンだ。

 雄馬はこの工房に就職して、若手の職人の技能コンテストで金賞を受賞した実績がある。
 そのネームバリューを活かして独立すべく、すでに各所に根回しも済ませているという。
 新しい屋号は、『工房佳宵(かしょう)』。ぱっと見で何と読むかわからなかったけれど、ご丁寧に屋号にはふりがなが振られている。

 どんな意味が込められているかは記載がないので、また後ほど聞いてみることにしよう。

 生活の安定を選び、無機質な生活を送る私とは真逆で、雄馬はいばらの道を自ら切り開き、充実した日々を過ごしている。私は雄馬のことが眩しく見えて、直視できないでいる。
 
< 19 / 34 >

この作品をシェア

pagetop