夢の続きを、あなたと
 さっきより少し、雨脚が強くなってきた気がする。
 雄馬は車のライトをハイビームにして視界を確保しながらゆっくりと車を走らせる。

「家はどこ? この調子だと、駅まで送っても、最寄駅から自宅に帰る間に濡れてしまうから、家まで送る」

 雄馬のありがたい申し出に、私は自宅の場所を伝えた。
 そこは、私が専門学校に通っていた時からずっと住んでいた場所だ。雄馬も私と付き合っていた頃に何度か泊まりに来たことがある。

「まだ、あそこに住んでいたんだな」

「うん、就活で今の会社に採用された時、通えなくもない距離だったからね」

 雄馬との思い出がたくさん残るあの部屋に、私がまだ住んでいると思わなかったのだろう。正面を見ていても、声色でわかる。
 
「ただ、卒業と同時に作業道具は処分しちゃったんだ。いつまでもあの頃のままとはいかないね」

 私の言葉に、雄馬は「そっか」と返事をする。
 それから私の自宅に到着するまでお互い無言のままだった。

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