夢の続きを、あなたと
 会社員は仕事を休んでも有給休暇があるし、給料も保証されている。加えて社会保険もかけてもらっている。
 それが個人事業所になれば、国民年金を自分で納めなければならないし、体調を崩して仕事を休んだ時の保障がない。
 それに雄馬が独立起業したからと言って、リメイク雑貨の卸先としてアルファクラフトと契約しても、すぐに本業の仕事の依頼があるのか。そして、私に払う給料だって不安もある。

「廃材をここに仕入れるのは、きっと無理だと思います。本当に膨大な量になります。安く仕入れたとしても、リユースできない部分など、結局使えない部位はこちらで処分しなければなりません。その際、木材などは通常のごみ回収とは違って専門の業者回収となります。その分のコストを考えたら現実的ではありません。それに、仮に廃材を仕入れて私がここで作品を作るとなった場合、作業スペースのこともあります。木工関連の専用機材を置く場所も、作業スペースも足りませんし、第一に通常の業務をこなしながら作品を作ることはできません」

 曽我さんの案を、会社側が全て通してくれるとなれば、私はバイヤーの仕事との両立は無理だ。
 作業スペースなんて、それこそ中学校の技術室に置かれているような機材や木くずなどを集積する集塵設備など、設備が整っていないことには話にならないのだ。

 私の言葉に、曽我さんは再び頭を悩ませている。
 そして、私に核心を突く発言をする。

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