夢の続きを、あなたと
「で、結局のところ、梶田さんとしてはどうしたい?」

 曽我さんの質問に、私は何も答えられない。

「わかりません……。職人にスカウトしてもらえたことは、素直に嬉しいです。自分が本当にやりたいことに対して、再びチャレンジできる機会を与えられるなんて思ってもみなかったことです。でも……」

「でも?」

「私に声を掛けてくれた本庄さんは、業界の中でも栄えあるコンテストで受賞した実績があります。彼は、コンテスト受賞の肩書きがあるから仕事も引く手あまただと思いますが……。私は一度、職人の道を諦めて、ここに就職しました。職人としての技術も就職してから全く携わることがなかった分のブランクがあります」

 私はそこまで話すと口を噤んだ。

 こうして思っていることを口にして、だれかに聞いてもらうことで、自分の抱えている不安について気持ちが少し整理できた。

 曽我さんは、私が次に言葉を発するのを待っている。
 けれど、私の将来について曽我さんに相談するのは違う。
 もし仮に曽我さんに相談したとして、将来その選択が誤ったものだと後悔するとしたら、その責任を曽我さんのせいにしてしまいそうだ。

 昨日、雄馬が私に言った言葉を思い出すと。私は深呼吸をひとつ吐いて、曽我さんに向かって言葉を発した。

「いえ、何でもありません」

 私は決心した。
 きっと私の表情を見て、曽我さんも何かを察したのだろう。

「何かあれば、何でもすぐに相談してくれよ? これでも俺、バイヤーのリーダーなんだからな」

「はい、その時はよろしくお願いします」

 私は曽我さんに深く頭を下げた。
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