夢の続きを、あなたと
夢の続きを、あなたと
私は今後の身の振り方を決意し、自分のデスクに戻ると段取りを確認する。
その時、スマートフォンが震えた。
通話アプリには、雄馬からのメッセージが表示される。
『廃材のストック、工房で確認してきた。おもしろい形のやつ、何点か写真撮ったから送るよ。どれから始めるか、また相談しよう』
すぐに写真が何枚も送られてきた。
古い引き出しの取っ手、割れた天板の一部、ひびの入った木製のフレーム。
どれも普通の家具としてはもう使えないけど、雑貨に生まれ変わるには十分すぎる個性がある。
私はニヤリと笑って、返信を打つ。
『ナイスセンス。フレームのやつ、ピンときた。時計にリメイクできると思う。今夜、少しラフ描いて送るね』
数秒後、親指を立てたクマのキャラクターのスタンプが返ってきた。
ああ、やっぱりこのテンポだ。
このやりとりが、私は恋しかったんだ。
――仕事相手としての彼との関係。
それが、また始まろうとしている。
でも、その先にあるのは、かつて失くした想いの続きを拾い上げる時間かもしれない。
もう一度だけ、信じてみてもいいのかもしれない。
自分の気持ちも、そして雄馬の気持ちも。
翌週の午後、私は工房を訪ねた。
扉を開けると、木の香りが鼻をくすぐる。機械油と日光が混じった、あの懐かしい空気。
奥の作業台に、例のフレームが置かれていた。
「これ、やっぱり面白いな」
雄馬は無造作にフレームを指で弾いた。表面の塗装はところどころ剥がれ、右下の角が大きく欠けている。
「ふつうなら捨てるよね。でも、この『欠け』がいいんだと思う」
私はバッグからスケッチブックを取り出した。開くと、そこには簡単なラフ画。
割れた部分を6時の位置に持ってきて、あえてその部分に文字盤を置かない。
『時間の抜け』をデザインにする。
その時、スマートフォンが震えた。
通話アプリには、雄馬からのメッセージが表示される。
『廃材のストック、工房で確認してきた。おもしろい形のやつ、何点か写真撮ったから送るよ。どれから始めるか、また相談しよう』
すぐに写真が何枚も送られてきた。
古い引き出しの取っ手、割れた天板の一部、ひびの入った木製のフレーム。
どれも普通の家具としてはもう使えないけど、雑貨に生まれ変わるには十分すぎる個性がある。
私はニヤリと笑って、返信を打つ。
『ナイスセンス。フレームのやつ、ピンときた。時計にリメイクできると思う。今夜、少しラフ描いて送るね』
数秒後、親指を立てたクマのキャラクターのスタンプが返ってきた。
ああ、やっぱりこのテンポだ。
このやりとりが、私は恋しかったんだ。
――仕事相手としての彼との関係。
それが、また始まろうとしている。
でも、その先にあるのは、かつて失くした想いの続きを拾い上げる時間かもしれない。
もう一度だけ、信じてみてもいいのかもしれない。
自分の気持ちも、そして雄馬の気持ちも。
翌週の午後、私は工房を訪ねた。
扉を開けると、木の香りが鼻をくすぐる。機械油と日光が混じった、あの懐かしい空気。
奥の作業台に、例のフレームが置かれていた。
「これ、やっぱり面白いな」
雄馬は無造作にフレームを指で弾いた。表面の塗装はところどころ剥がれ、右下の角が大きく欠けている。
「ふつうなら捨てるよね。でも、この『欠け』がいいんだと思う」
私はバッグからスケッチブックを取り出した。開くと、そこには簡単なラフ画。
割れた部分を6時の位置に持ってきて、あえてその部分に文字盤を置かない。
『時間の抜け』をデザインにする。