さっちゃんの足跡
15. 帰省日
今日は金曜日。 2週に一度の帰省日です。
4時間目の授業が終わるとさっちゃんは寮に帰ってきました。
「ただいま。」 「挨拶できるようになったねえ。 進歩したねえ。」
寮母主任の山下さんです。 けっこう厳しい人なんですよ。
歩く時にもね、「さっちゃん 連れて行ってもらう時にはね、手を握っちゃいけないの。 連れて行ってくれる人の肘をこうして掴むのよ。」
食事をする時には「ちゃんと挨拶してから食べなさい。 自分で作ったご飯じゃないんだから。」
「それにね、肘をついて食べないの。 お行儀よくしなさい。」
細かい所ばかり注意してきます。 うるさいおばさんです。
いつだったかママが聞いたことが有ります。 「何でそこまで厳しく言うんですか?」
「憎たらしくて言ってるんじゃないのよ。 見えないから適当にやってればいいっていうわけじゃないの。 見えないからこそきちんとやってほしいのよ。」
時々、盲学校の先輩らしい人が真昼間からビールを飲んで酔っ払って歩いている姿を見掛けます。
「あんな風にはなってほしくないのよ。 あの人は周りの人たちにも疎ましく思われてることでしょう。
自分のこともちゃんと出来ないようであれば生きてる資格は無いものと思いますよ。」
それを聞いて以来、ママはさっちゃんに少しだけ厳しくするようになりました。
道路を歩いている時も先生たちに白杖の使い方を教えてもらったからさっちゃんを一人で歩かせています。
「怖い。」 「最初はみんなそうよ。 大人になるまでに一人で何処へでも行けるようになりなさい。」
余程に交通量が多い道路ではさすがにそうはさせません。
働くようになれば何処へでも自分で行かなきゃいけなくなるけど、今はそうでもないんだから。
時々は電車やバスに乗ります。 そしたらここでもママ先生は厳しいんです。
切符の買い方もカードの使い方も徹底して教え込みます。 泣きたい時も有るけどね。
甘いだけじゃダメなの。 子供が自分の足で立てなくなったら心配で死ねないから。
4時間目の授業が終わるとさっちゃんは寮に帰ってきました。
「ただいま。」 「挨拶できるようになったねえ。 進歩したねえ。」
寮母主任の山下さんです。 けっこう厳しい人なんですよ。
歩く時にもね、「さっちゃん 連れて行ってもらう時にはね、手を握っちゃいけないの。 連れて行ってくれる人の肘をこうして掴むのよ。」
食事をする時には「ちゃんと挨拶してから食べなさい。 自分で作ったご飯じゃないんだから。」
「それにね、肘をついて食べないの。 お行儀よくしなさい。」
細かい所ばかり注意してきます。 うるさいおばさんです。
いつだったかママが聞いたことが有ります。 「何でそこまで厳しく言うんですか?」
「憎たらしくて言ってるんじゃないのよ。 見えないから適当にやってればいいっていうわけじゃないの。 見えないからこそきちんとやってほしいのよ。」
時々、盲学校の先輩らしい人が真昼間からビールを飲んで酔っ払って歩いている姿を見掛けます。
「あんな風にはなってほしくないのよ。 あの人は周りの人たちにも疎ましく思われてることでしょう。
自分のこともちゃんと出来ないようであれば生きてる資格は無いものと思いますよ。」
それを聞いて以来、ママはさっちゃんに少しだけ厳しくするようになりました。
道路を歩いている時も先生たちに白杖の使い方を教えてもらったからさっちゃんを一人で歩かせています。
「怖い。」 「最初はみんなそうよ。 大人になるまでに一人で何処へでも行けるようになりなさい。」
余程に交通量が多い道路ではさすがにそうはさせません。
働くようになれば何処へでも自分で行かなきゃいけなくなるけど、今はそうでもないんだから。
時々は電車やバスに乗ります。 そしたらここでもママ先生は厳しいんです。
切符の買い方もカードの使い方も徹底して教え込みます。 泣きたい時も有るけどね。
甘いだけじゃダメなの。 子供が自分の足で立てなくなったら心配で死ねないから。