あの日に置いてきた恋をもう一度あなたと
 それがたまたま席替えで前後の並びになった時、好きな野球チームの話で意気投合し、それ以来よく話をするようになったのだ。

 その後も何かとクラス委員が一緒になったり、レクレーションのチーム分けが一緒になったりと縁があり、気がつけばいつも一緒に過ごすようになっていた。


 皆は二人の仲を冷やかすこともあったが、当時の二人の間には、男女の枠を越えた友情のようなものが芽生えていた気がする。

 つかず離れず、でも一番の理解者だとお互いに意識はしている。

 そんな距離感が菜月には心地よく感じられた。


(それにあの頃は、萌絵(もえ)も一緒だったし……)

 菜月は同じく高校の同級生で、仲の良かった小坂井 萌絵(こさかい もえ)の顔を思い出す。

 萌絵は二年生の時に同じクラスになり、菜月と凌平が野球チームの話をしている所に混ざって来てから急に仲良くなった。

 萌絵は菜月よりも情報通で、球団のイベントの話などがあると、興奮した様子で凌平に話していたのを思い出す。

(あの頃から、萌絵は凌平のこと……)

 ふいに菜月の心をチクリと痛みが走った。
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