あの日に置いてきた恋をもう一度あなたと
「これ、渡しておくよ」

 すると凌平が、一冊のマニュアルが印刷されたファイルを菜月に差し出した。

 菜月は不思議そうにファイルを受け取ると、パラパラと中身を確認する。

 どうもこれは、アメリカで使用しているシステムの運用マニュアルのようだ。

「え? これって……」

 菜月が驚いたように顔を上げると、凌平は珍しく照れたように頭に手をやった。

「英語で書いてあるから、わからなかったらいつでも聞いてくれ」

「そんな……もしかして、わざわざ凌平が取り寄せてくれたの?」

 パッと顔を上げた菜月は、思わず“凌平”と呼びかけてしまったことに気がつき、慌てて口元を押さえる。


「えぇっと、その……佐々波リーダーが、わざわざ取り寄せてくださったのですか?」

 すぐに言い直そうとしたら、思わずロボットのような口調になってしまった。

(私、どれだけ動揺してるのよ)

 つくづく自分の不器用さが情けなくなってくる。

 菜月が顔を真っ赤にしていると、凌平はぷっと吹き出しながら、そっと顔を覗き込ませた。
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