あの日に置いてきた恋をもう一度あなたと
「やっぱり、綾瀬には(かな)わないな」

 そう言いながら一瞬表情を崩した凌平は、静かにうなずくと、再び真剣な顔つきを見せた。

「アメリカ支社から、こっちのシステムにアクセスできないと連絡が入った。向こうは業務が開始しているし、至急復旧するようにと言っている。何か原因とか考えられるか?」

 凌平の話に菜月は目を丸くする。

「システムにアクセスできない?」

 外部からアクセスできない一番の原因として考えられるのは、サーバーがダウンしている可能性だ。

 でも今日帰る前に確認した時は、サーバーは何の問題もなく動いていたはず。


 しばらく考えを巡らせていた菜月は「あっ」と声を出す。

 そう言えば、ビルの共用部分に“本日夜間、工事のため一部フロアを停電します”という案内が、貼ってあったのを思い出したのだ。

(停電の対象フロアは別の階だったけど、誤って一時的にサーバーのあるフロアが停電になっていたとしたら……)
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