憧れだった貴方と恋をする〜左小指のピンキーリングは素敵な恋を引き寄せる〜
「向こうでテレビ見ててもいいよ」
「さくらの料理する所、見るの好き」
ニコッと笑う。
「恥ずかしいよ」
お鍋にお水を入れるとコンロに置くために遥海くんに背をむけた。
「……さくらはさ、大学楽しい?」
「まあ、それなりに?遥海くんは楽しくないの?」
「……」
「遥海くん?」
急に話さなくなり、しばらくすると
「うーん、正直に言うとつらい……」
「え?つらいの?」
「思ってたのと違ったというか、こんなにお金に困るとは思わなかったし、それが悪循環でさ、食べなきゃやっぱりしんどいし、部活の休みもないから体も休まらない、こんなはずじゃなかった、入学して半年ちょっとで体調壊して気付いた事かな」
上を向いて考えながら話している。
「じゃあしっかり食べて部活頑張って」
ミートソースのパスタをテーブルに置いた。
「服に散らさないように気をつけてね」
「うん、すげー、美味そう、いただきます」
フォークを器用に巻いていく。
「こんなの、お店のパスタじゃん、さくらってすげえな」
あっという間に平らげてお皿を洗ってくれた。
「朝の歯ブラシいい?」
「いいよ」
歯磨きから戻ってくると
「俺さ、さくらに何かしてあげたいんだけど、何かない?」
「うーん、そう言われても……私が勝手にやってる事だからね」
さくらはしばらく考えた。
「そうだ、もうすぐ実家からお米が届くの、精米しなくちゃいけなくて、その時に手伝って欲しいかな」
「いいよ、重いもんな」
「お米わけてあげるよ」
「え?」
「本当はね、遥海くんの体の事を考えたら毎日でもご飯を作ってあげたいんだけど……遥海くんに悪いなって思われたくないのね、私、昨日みたいに世話好きの性格が出ちゃうの」
「まあ、俺もここは居心地がいいけど、さくらに迷惑かけるって思わなくはない、彼女でもないしな」
彼女……
「それは、彼女ならいいって事なの?」
「えっ、あっ、どうだろ、何となく言っちゃったからごめん、考えてなかった」
遥海くんも考え始めた。