御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
律さんは静かに立ち上がると、無言のままゴミ箱の前へ行き、その箱を、ためらいなく──捨てた。

「……え?」

その仕草に、一瞬言葉を失う。だけど、心はまだざわついていた。

律さんは私の方を向き、ゆっくり口を開く。

「確かに、好きだったよ。ずっと前にな。でも、終わったんだ。あの指輪も、彼女への想いも。」

彼の目は真っ直ぐだった。だけど──私はまだ、信じきれなかった。

「じゃあ……なんで、あんな風に隠してたのよ……?」

その問いに、律さんは一瞬、苦しそうに目を伏せた。

「……ただ、愛しただけだ。」

律さんのその一言が、胸に突き刺さる。

あの、誰もが振り向くような綺麗な人を──。

「でも、過去は過去だよ。」

そう言われても、あの指輪には“forever”と刻まれていた。

その言葉が、今でも律さんの心を縛っているように思えてならなかった。
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