御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
ギィー……

寝室のドアが静かに開く。

「千尋……? 何やって──」

パッと照明が灯り、私の隣に落ちている小さなベルベットの箱に、律さんの目が止まった。

「それ……どこから……」

私は嗚咽混じりに答えた。

「クローゼットの奥にあったの……!」

声が震える。

「……あれは、もう捨てたと思ってた。」

律さんのその一言で、張りつめていた感情が一気に爆発した。

「嘘っ!!」

私は箱を手に取り、勢いよく律さんに向かって投げつけた。

「捨てたと思ってた?じゃあ、なんで大切に奥にしまってたのよ!」

箱はポスン、と律さんの胸にぶつかり、床に転がった。

律さんは黙ってそれを拾い上げる。

「ねえ……涼花さんって、石原涼花? 今日、偶然見たの。撮影してた。すごく綺麗な人だった。」

律さんの手が止まった。

「結婚したいくらい……好きだったの?」

問い詰める私の声が震える。怒り、悲しみ、虚しさ。全部が混ざって。
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