御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「今も、愛してるくせに……」

ぽつりと呟いた瞬間、律さんが私を抱きしめ、床へと押し倒した。

「……今は、千尋だけだよ。」

その言葉が、本当なら。

でも胸の奥が、まだざわついていた。

「千尋……」

耳元で名前を呼ばれる声は、いつもより切なく響く。

私の中にある不安を溶かすように、律さんはそっと唇を重ねてきた。

「愛してる。ちゃんと……感じて。」

律さんの腕に包まれながら、心も体も、少しずつ熱を帯びていく。

どうしてこんな時でも、私は律さんの温もりに反応してしまうんだろう。

理性では許せないのに、心が律さんを手放せない。

愛されてると信じたい。

でも──私は律さんの「忘れ物」じゃない。

「受け取って、俺の……愛の証を。」

低く響いた声の直後、私の中に熱が広がる。

深く、強く──律さんの想いが、体に刻み込まれていく。

「もっと……千尋が納得するまで、俺に愛されてるって、ちゃんと分かるまで……何度だって、抱く。」
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