御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
波のような律さんの動きが、私をさらっていく。

心も、体も、もう抗えない。

「千尋、俺を見て。」

苦しげな声に、目を向けると、そこには真剣な眼差しがあった。

ただ、私だけを見つめる、深く強い瞳。

「君のためだけに、愛を注ぐよ。」

その言葉が胸の奥まで届いて、私は息を呑む。

「あっ……」

こみ上げる感情と快感。

全身が、律さんの愛で包まれていく──

彼の中にあるすべてを、今、私だけが受け取っている。

律さんの愛が、止まらない。

私も、それを受け入れるしかない。

だって──本当に、愛してるから。

行為の余韻に包まれたまま、二人は床に並んで寝そべっていた。

どちらからともなく、静寂の中で息を整え、少しの間、時間が止まっていた。

「涼花は……社長令嬢で。俺の、婚約者だった。」

ぽつりと律さんが呟いた。

天井を見上げたまま、どこか遠くを見ているような表情。
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