御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
その飲むスピードが速くて、こっちの緊張まで加速していく気がした。

「ええっと……運命なんだと思います。」

私は少し背筋を伸ばして、正面からそう言った。

気休めやごまかしではなく、自分の気持ちをちゃんと伝えたかった。

お母様はふっと視線を律さんへ向けて、「律、お茶、もう一杯お願いできる?」と告げた。

「……ああ」と律さんは頷いて、立ち上がってキッチンへ向かう。

その間に、お母様が私にじっと目を向けた。

「千尋さんって、見たところ派手でもないし、かといってキャリアウーマンって感じでもないし。恋愛に生きるってタイプにも見えないのよね。」

言葉のひとつひとつが柔らかいのに、核心を突いてくる。

私は何かを試されているような気がした。

そして、お母様は最後にこう付け加えた。

「それなのに運命とか、信じてるの?」

その瞬間――

「おふくろ、それはないだろ。」
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