御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
お母様が頬に手を当てながら、照れたように笑った。

その表情は、どこか律さんとよく似ていて、胸の奥が温かくなる。

「だったら、子供も早いわね。」

ぽろっと出たお母様の言葉に、場が少しだけ静まる。

「そればっかりは……天任せだよ。」

律さんが笑いながら言ってくれたことで、空気が和らいだ。

「そうね。焦らなくていいのよ。人生、タイミングってあるから。」

そう言って、お母様はまた一口、お茶を飲んだ。

その仕草も、どこか優しく見えた。

「じゃあ、帰るわ。」

お母様はそう言って、律さんが買ってきてくれたケーキの箱を手に取った。

「お父さんと一緒に食べるわね。」

「はい。ぜひ召し上がってください。」

笑顔でそう答えると、お母様は私に優しく手を振った。

玄関先で律さんと一緒に並んで見送ると、その背中がゆっくりと遠ざかっていく。

ドアを閉めてリビングに戻ると、律さんがふぅっと長い息を吐いた。
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