御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「だから今、俺、どんな誘惑にも勝てる気がする。」

「……それ、フラグじゃないよね?」

「違うよ。」

私の額に優しくキスを落として、律さんは出ていった。

その背中に――私はそっと、信頼を託した。

仕事中――。

資料に目を通しているふりをしながら、思考はどこか遠くへ飛んでいた。

(今、律さんは……もう会ってる頃かな)

「朝倉さん、意識……完全に飛んでますよ。」

隣の席から滝君の声。私は苦笑しながら頷いた。

「うん、そうなのよね。」

「なにか……旦那さんとありました?」

「うん。今日ね、元カノと会ってくるって。」

「……は?」

滝君の顔が一瞬で強張った。あからさまに驚きと警戒の色が浮かんでいる。

「それ、大丈夫なんですか? 浮気の――予兆とかじゃ……」

「うん。でも、信じてるから。」

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