御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
そう言いながらも、胸の奥ではずっとざわざわと波が立っていた。

言葉ではそう言っても、本当に“信じきれてる”のか、自信が持てない。

滝君はしばらく黙っていたが、ふっと真面目な顔で私に言った。

「気をつけた方がいいですよ。結婚した後の元恋人。」

滝君の言葉に、私は思わず瞬きを繰り返した。

「なんで?」

「結婚って聞いて、改めて相手の魅力に気づくことがあるんですよ。」

言葉が喉に引っかかる。
心の奥が、ざわついた。

「結構多いんですよ。結婚後に元恋人と浮気するケース。気持ちが揺れやすい時期なんでしょうね。」

──それは、信じている私が甘いの?

思わずスマホを取り出して、律さんにメッセージを送る。

「ちなみに、どこで会うの?」

数秒の沈黙が長く感じられた。

やがて、画面に表示された短い返信。

《会社のロビーの喫茶店》

胸の奥で、何かが小さくきしんだ。

信じたい。でも、不安。

そんな思いが、少しずつ形を持ち始めていた。
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