御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「──あら、認めるのね。私を愛してたって。」

涼花さんの声は、どこか満足げだった。

勝ち誇ったような響きがある。

「だが君は、俺を愛していなかった。」

「そんなこと……」

「ある。誰よりも君を見ていたから、分かる。」

律さんのその言葉に、涼花さんが一瞬、息を呑んだのが分かった。

まるで、心の底を見透かされたように。

(でも……でも……)

私の中で、何かが崩れていく音がした。

こんなに深く、律さんが誰かを愛していたなんて──

その想いの強さに、圧倒された。

(私は、その代わりなんじゃないか)

(律さんの心の隙間を、たまたま埋められただけなんじゃ……)

コーヒーに口をつけたけれど、味が分からなかった。

頭の中で、律さんの「全力で君を愛した」が何度もリフレインする。

「でも、千尋は違う。」

律さんの声は穏やかで、どこか余裕すら感じられた。
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