御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「千尋は、俺をちゃんと愛してくれている。」

その言葉に、私は胸が熱くなるのを感じた。

一方、涼花さんの眉がピクリと動くのが見えた。

「そんなの、どうして分かるの?」

「分かるよ。仕草や、笑顔、言葉の一つひとつで。」

律さんは涼花さんに向かって一歩近づく。

「それに……ベッドでも分かる。千尋は、反応がいいから。」

──その瞬間、顔が真っ赤になった。

まさかそんな風に思っていたなんて。恥ずかしい。でも、どこか嬉しい。

「とにかく、俺はもう相思相愛の人を見つけたんだ。」

律さんはしっかりとした口調で続ける。

「これ以上、俺に関わらないでくれないかな。」

その言葉を最後に、律さんは静かに席を立った。

私は植木の陰から、黙ってその背中を見つめた。

彼の歩みは迷いがなく、どこまでも真っすぐだった。

──私は、選ばれた。

彼の過去ではなく、今と未来に。

その確かな答えが、私の胸にあたたかく灯った。
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