御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
私は、帰り道。
ルンルン気分でスーパーに立ち寄った。

「今日は、律さんの好きなお刺身にしようかな。」

そう呟きながら、少し高めのマグロをカゴに入れる。

ついでに日本酒も一本。今夜はささやかにお祝いしよう。

家に帰ると、先に帰宅していた律さんがソファから顔を出した。

「なんか、機嫌いいね。」

エプロンをつけながら私は笑った。

「だって律さん、涼花さんにちゃんと言ってくれたんでしょう?『俺に構わないで』って。」

私は、買ってきたマグロのお刺身を嬉しそうに皿に並べながら言った。

律さんは、箸を止めて私をじっと見つめる。

「……さては、聞いてたな?」

「何が?」

とぼけたふりをしてみる。

だけど、律さんはニヤリと笑った。

「じゃあ、知らないんだ。涼花に“ベッドのこと”言ったって話。」

「ん?」

一瞬、頭の中で再生されるあの会話。――“反応がいいからね、千尋は。”

確かにそれは聞いた。でも、それ以外も言ってたの?
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