御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「千尋は、ベッドでは激しくて、いつも俺の方が負けるって。」

「そんなこと、言ってないじゃない!」

思わず声が大きくなる。

律さんはくすくすと笑いながら、箸を置いた。

「ねえ、どこから聞いてたの?」

「……割と最初から。」

顔がみるみる赤くなっていくのが自分でもわかる。

恥ずかしくて刺身どころじゃない。

「千尋、盗み聞きはよくないぞ?」

「……律さんが心配だったの。」

「じゃあ、仕方ないな。」

そう言って、律さんは優しく私の頬に触れた。

「でももう安心していいよ。俺は、千尋にしかこんなこと言わないし、こんな気持ちになったことないから。」

「ほんとに……?」

「ほんと。俺の負けだよ、いつも。」

「なにそれ……」

気づけば二人して笑い合っていて、テーブルの上には、いつもより少し贅沢な夜ごはん。

あたたかくて、照れくさくて、でも幸せで――

そんな夜が、今もちゃんとここにある。
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