御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
夕暮れに沈む部屋。

カーテンの隙間から差し込む夕陽だけが、静かに部屋の空気を染めていた。

私はソファの上で、何もせず、ただぼんやりと座っていた。

──頭の中は、さっきの涼花さんとの会話でいっぱいだった。

「ただいま。千尋、ご飯できてる?」

玄関のドアが開き、律さんの声が響いた。

その瞬間、パッと部屋の電気が点く。

「あれ……? 電気、ついてなかったんだ。」

自分でも驚いた。電気すらつけずにいたことに。

時間の感覚も、何もかも、今日はどこかずれていた。

「……あっ!夕ご飯、 忘れてた!」

私は慌てて立ち上がり、キッチンに駆け込む。

冷蔵庫の中身を見るふりをしながら、どうにか気持ちを取り繕おうとした。

律さんが後ろから、少し心配そうに声をかけてくる。

「なんかあった? 体調とか……」

ビクンッ、と体が反応してしまった。

彼はきっと、私のちょっとした動揺も見逃さない。
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