御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「千尋に……分からせる。どれだけ、愛してるか。」

その言葉が、キスの合間に紛れ込んでくる。

唇は一度も休まずに、私を味わい尽くすように這ってくる。

「ああ……っ、律さん……っ」

もはや言葉にならない。

ただ、感じるだけ。

彼の愛が、深く、何層にも折り重なって注がれてくる。

「止まらない……千尋……もう、どうしても止まらないよ……」

そして、律さんの涙が止まっていることに気づいた。

代わりに、瞳の奥にはまっすぐな想いと、確かな愛が灯っていた。

キスは終わらない。

まるで、私という存在を、確かめるように──

律さんのすべてで、私を包み込んでいた。

「う……ん……」

ふわりとした柔らかな朝の光の中、私は律さんの腕の中で目を覚ました。

穏やかに眠る彼の横顔は、いつになく優しくて──まるで少年のよう。

(可愛い……)

昨夜のことを思い出すと、胸の奥がじんわりと熱くなる。
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