御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
一生かけて、彼を幸せにしたい。

いや──私が、幸せにされているのかもしれない。

「……千尋、起きた?」

律さんの低くかすれた声。寝起きのその声が耳に心地いい。

「うん、おはよう……」

ベッドの中で顔を寄せ合う──その瞬間。

──ピンポーン。

「……えっ?」

突如、鳴り響いたインターホンの音に二人とも硬直する。

「……誰?」

律さんは軽く欠伸をしながらベッドを出て、モニターを覗き込む。

「律? いる?」

モニター越しに響いた女性の声に、律さんがサッとこちらを振り返った。

「まずい……おふくろだ。」

「ええっ⁉」

ベッドの中で飛び起きた私は、瞬時に事態を理解する。

(こんな寝起き姿、見られたらヤバすぎる……!)

「と、とにかく服着る!顔洗う!」

「俺、ちょっと時間稼いでくる!」

律さんは寝癖のついたままの髪で玄関に向かい、私は猛ダッシュで支度を始めた。
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