御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
囁くようなその声に、胸が震える。

スッとシャツを脱ぎ捨てた律さんの姿に、私は何度目かの恋をした気がした。

でも――
今夜は、私も律さんに恋をさせたい。

そっと自分の服に指をかけ、ゆっくりと脱いでいく。

そして、裸のまま彼の胸に抱きついた。

「千尋が俺を選んでくれるように、優しくする。」

ベッドに身を沈められると、柔らかい熱と律さんの吐息が、私の肌に降りてくる。

くすぐったいような、愛しいぬくもり。

「千尋、俺……」

震える声が耳元に落ちる。

泣きそうな律さんの顔が、目の前にあった。

「情けないけどさ……元カレに、もう会わないって……言って欲しい。」

律さんの背中に、私はそっと腕を回す。

「……必ず言うから。」

たしかな言葉を、心の奥に刻みながら――

私たちは深くキスを交わした。

「だから今は、私を愛して。」

そう囁くと、律さんが優しく私を抱きしめてくれる。
< 162 / 252 >

この作品をシェア

pagetop