御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「……あげるよ。俺の愛。」

律さんの熱が、私のすべてを包み込む。

心も体も、ひとつに溶けていく――そんな夜だった。

そして朝の光がカーテン越しに差し込むキッチン。

湯気を立てたコーヒーの香りがふわりと広がった。

「パン、焦げてない?」

律さんがトースターを覗き込みながら聞く。

「ううん、大丈夫。いい色。」

私は小さく微笑んで答えたけれど、手にしたマグカップが少しだけ震えていた。

律さんはそんな私の様子に気づいたのか、カップを置いてこちらを見つめてくる。

「……千尋?」

呼ばれて、私はようやく顔を上げた。

「今日、もしまた悠太が来たら……ちゃんと話す。きっぱりと、もう終わったって伝える。律さんと生きていくって、はっきり言うよ。」

言葉を吐き出すと、胸の奥に張りつめていたものが少しだけ溶けていく気がした。

 
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