御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「律さん……!」

私がタタッと駆け寄ると、律さんは腕を組んで、少し拗ねたような顔をしていた。

「こら、飲みに行けとは言ってないぞ。」

「ふふっ……ごめんなさい。でも、ちゃんとお別れしてきた。」

私がそう言うと、律さんは少しだけ眉を下げ、柔らかく息を吐いた。

「そうか。」

それだけ言うと、そっと私の頭に手を乗せてくれる。

「偉かったな。」

その一言が、胸に染みて、私は堪えていた涙が溢れそうになった。

「律さん。……私ね、今、すごく幸せだよ。」

「俺もだよ。」

彼の腕に飛び込んだ瞬間、ようやく本当に前に進めた気がした。

「ところでどうして、律さんがここにいるの? また仕事の付き合い?」

私がそう聞くと、律さんはちらっと視線を逸らし、少しだけバツの悪そうな顔をした。

「……心配で後、つけてた。」

「えっ⁉」

思わず声が裏返る。そんなことする人じゃないと思っていたのに――
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