御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
どちらを優先すべきかを、その場で天秤にかけているような、そんな目だった。

「ごめん……ちょっと考えさせて。できるだけ調整してみるから。」

律さんはそう言って笑ったけれど、私はもうそれ以上、何も言えなかった。

誕生日の話なのに、心は少しずつ冷えていく。

――私の願いは、そんなに難しいことだったのかな。

結婚って、こんなに“ひとり”になるものだったっけ。

そして数日後、律さんは仕事から帰るなり、いつもの疲れた顔ではなく、どこか達成感に満ちた笑顔でこう言った。

「レストラン、予約したから。18日、楽しみにしてて。」

一瞬、耳を疑った。

「……ほんとに?」

思わず嬉しくなって聞き返すと、律さんはうなずいて、優しく私の頭を撫でた。

「本当だよ。千尋の誕生日なんだから、当然でしょ。むしろ俺が、感謝したいくらいだ。」

「感謝?」
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