御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「何で喧嘩したの?」

母が、ビールの缶をのぞき込むようにしながら隣に座ってきた。

「……結婚して、初めての誕生日だったの。」

「うん。」

「律さんに、仕事って言われて……すっぽかされた。」

ぽつりと漏らすように言ったその言葉が、重くリビングに落ちた瞬間。

「なにぃ⁉ そんな男、離婚だ離婚!」

お父さんが、新聞をたたみながら怒鳴った。

「お父さん、落ち着いて!」

思わず私が止めるより先に──

母がタオルを手に取り、ぱしん、とお父さんの顔めがけて投げた。

「なにするんだ!」

「お父さんだって、何度も私の誕生日すっぽかしてたでしょ?」

「ええっ⁉」

思わず声が漏れる。

あの温厚で優しそうなお父さんが……?

「だって仕事が──」

「言い訳しないの。しかも、最初の誕生日だけは盛大に祝ってくれたのよねぇ?」

「……それは……うん。最初は張り切ったな。」
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