御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「悪くはないけど……でも許さない。」

そう言って拗ねてみせた私を、律さんはぎゅっと抱きしめた。

「……じゃあ、しっかり“俺の気持ち”を証明するよ。」

そう囁かれて、今度は顔が真っ赤になった。

やっぱりこの人には、勝てない。

私は肩まで水に浸かりながら、律さんにぴったりと抱きつかれていた。

まるで私の背中に張りつくようにして、ずっと離れようとしない。

「律さん……人が見てるってば……」

そう言いながら振り返ると、向こうからカップルがすれ違いざまにからかってくる。

「Hugh!」
「They’re so in love!」

クスクスと笑いながら通り過ぎていくカップルに、私は思わず顔を赤らめた。だけど──

「Naturally!」

律さんはなんの照れもなく、むしろ誇らしげに即答する。

その声がやけに自信に満ちていて、私は思わず吹き出しそうになる。
< 215 / 252 >

この作品をシェア

pagetop