御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「ちょっと、律さん……!」

「離して、律さん。」

そう言う私に、律さんはむくれたような顔で言い返す。

「千尋が嫉妬するから、離れない。」

「えっ、なんで?」

「俺のこと他の女が触ったんだよ? しかもキスまでされたんだよ? それを止めてくれたのは千尋だけど……俺、まだ動揺してるの。だからくっついてないと安心できない。」

「律さん、子供かっ!」

でも──そんな風に正直に気持ちを言われたら、怒るどころか、なんだか胸がいっぱいになる。

「……じゃあ、しょうがないな。あとちょっとだけだよ?」

「うん、あと一生くっついてる。」

律さんが、クスっと笑う。

「それは“ちょっと”じゃない!」

「じゃあ、千尋が俺にキスしてくれたら離れる。」

「は?」

「“俺だけの男”って、ちゃんと印つけて?」

水面に映る律さんのいたずらっぽい笑み。
その表情が、あまりにも愛しくて──

私はそっと彼の頬に唇を寄せた。
律さんの腕が、さらに強く私を抱きしめた。
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