御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
すると律さんは、私の耳元で囁いた。

「世界で一番甘いのは、千尋とのキスだけどね。」

そう言って、もう一度そっと唇を重ねてくる。

柔らかい水の音と、律さんの吐息が混ざり合い、プールの中に静かな幸福感が広がる──

──その時だった。

プールサイドの方から、強い視線を感じた。

思わず振り返ると、小さな女の子がこちらを凝視していた。

「きゃっ!」

あまりにも真剣な顔で見ているので、私は顔を真っ赤にした。

するとその子がとことこ近づいてきて、「Hey.」と話しかけてくる。

「Is a kiss sweet?(キスって甘いの?)」

可愛すぎる。
まるで天使。

私は思わず、その子をぎゅっと抱きしめたくなった。

「Kissing her is sweet.」

律さんがさらっと言う。その堂々たる言い方に、私はまた赤面する。

すると今度は──

「Kiss me too.(私にもキスして)」と女の子が唇を突き出してくる。
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