御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
──それくらい、律さんとの朝のハグは、濃厚だった。

「……ああ、千尋、可愛い。」

「ん、ありがと。」

そして律さんが、私の頬にチュッとキスをする。

「でも……毎朝こんなに可愛いと、困るなぁ。」

「なにが?」

「千尋のこと、監禁したくなる。」

「…………えっ?」

一瞬、笑いかけた口元が固まった。

「冗談だよ?……たぶん。」

「た、たぶん?」

耳元に落とされた囁きが、背中をゾクッと走る。

「でも……本音言うとさ。千尋がどこにも行かず、ずっと俺の隣にいたらいいのにって、毎朝思うんだよね。」

律さんの腕が、さらにぎゅっと強くなった。

「だってこんなに好きなのに、あと数分で離れなきゃいけないなんて……理不尽じゃない?」

甘ったるい声でそんなことを言われたら、もう抵抗できない。

「……あと5分だけ、延長していい?」

「だーめ。遅刻しちゃうでしょ。」
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