御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
隣では律さんが、スープの蓋を開けながら言う。

「こうやって、たまには職場ランチデートもいいでしょ?」

――やれやれ、やっぱり過保護で甘い律さんは、今日も全開でした。

溺愛全開の過保護ぶりは、しばらく経ってもまったく収まらなかった。

その夜、律さんは「ちょっと残業してくる」と言って帰宅が遅くなった。

けれど帰ってきた彼は、どこか落ち着かない様子で、玄関からずっとそわそわしている。

「どうしたの?」

夕食を並べて声をかけると、律さんは椅子に座ったものの、すぐに立ち上がってウロウロ。

ふと見ると、彼の手に何か小さな箱が握られていた。

「なにそれ?」

私は思わず、律さんの手からその箱をひょいっと奪った。

「あっ、それ……!」

彼の慌てた声を聞いた時にはもう遅い。私は蓋を開けた。

中には、小ぶりで華奢な――でも、どこか華やかな雰囲気のあるピアスが入っていた。

「……ピアス?」
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