御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
濡れた髪の隙間から覗く律さんの瞳。

汗ばむ肌に光る滴。

すべてが色っぽくて、愛しくて。

──もっと、欲しい。

この人のすべてを。心も、体も、命さえも。

私はそっと、律さんの頬にキスをした。

それは、愛の続きを求める合図。

律さんの目が、また熱を帯びて私を見つめ返した。

「千尋……俺、まだ君に触れていたい。」

「うん……私も。」

そして夜は、まだ終わらなかった──。

しばらくして、私は熱っぽい体を持て余していた。

ふとした瞬間に息が上がって、胸がざわつく。

風邪じゃないと、自分でも分かっていた。

「千尋、風邪?」

律さんが私の額に手を当てて、心配そうに顔を覗き込む。

優しいその声が、なぜか少しだけ遠く聞こえた。

「ううん。違うの……」

私はそっと、律さんの背中に腕を回した。

ぎゅっと抱きしめる。頼るように。

「生理、遅れてるの。」
< 245 / 252 >

この作品をシェア

pagetop