御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
それは、私のためなのに。

まるで自分のことのように、真剣で、優しい。

「ほら、今の時点の結果でいいから。」

そう言って手渡された袋。

律さんの掌のぬくもりが、私の不安を少しだけ溶かしてくれた。

家に帰ると、律さんは箱を丁寧に開けた。

「焦らなくていい。でも、千尋が“気になる”なら、確かめよう。」

私は小さく頷いた。

たかが一本のスティック。

けれど、そこに詰まっているのは——未来。

洗面所のドアを閉める直前、律さんの声が届いた。

「どんな結果でも、大丈夫だからね。俺がいるから。」

——その言葉が、何よりの支えだった。

洗面所の静けさの中、私は息を潜めて結果を見つめていた。

白いスティックの窓に、じわじわと浮かび上がってくる“線”。

一本……
そして、もう一本——

「えっ……? 本当?」

胸がどくんと跳ねた。

震える手で検査薬を持ち、私は思わず洗面所のドアを開けた。
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