御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「律さん! やったあ!」

駆け寄って、検査薬を律さんに見せる。

「これ、陽性だよね?」

「……うん! 間違いない。千尋……!」

次の瞬間、律さんが私をぎゅっと抱きしめてくれた。

力強くて、でも優しくて、心まで抱きしめられた気がした。

「千尋おお……!」

律さんが、私の体を軽々と抱き上げる。

「ありがとう……ありがとう、千尋……!」

気づくと、律さんの頬には涙が伝っていた。

泣くような人じゃないのに。

いつも理性的で落ち着いてる人なのに——

今は、喜びのままに涙をこぼしている。

「……律さんが泣いてる。」

その姿が嬉しくて、愛しくて、私も目頭が熱くなった。

「私達……パパとママになるんだね。」

「うん、千尋……絶対に、守るから。君と、君のお腹の子、全部。」

この瞬間、私たちの人生はまた、新しく始まったのだと思った。
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