御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
律さんが写真を見つめながら、そっと微笑む。

その笑顔は、どんな言葉よりもまっすぐに心に届いた。

「千尋、ありがとう。……俺、本当に幸せだ。」

その言葉だけで、私は涙がこぼれそうになった。

家族って、こうして始まっていくんだ。

家に帰ってソファーに座ると、律さんがそっと私のお腹に顔を近づけた。

「パパだよ、分かるかな……?」

真剣な顔で話しかける律さんが可笑しくて、思わず吹き出してしまう。

「ふふっ、まだ早いよ。赤ちゃん、耳なんて聞こえてないって。」

「そうかな。でもなんか、伝えたくて。」

それでも律さんはお腹に頬を寄せたまま、ぴたりと離れない。

まるでそこに、小さな命の気配を感じているように。

「……俺さ、千尋に交際0日婚を申し込んだ時、正直、自分でも何言ってるんだろうって思ってたんだよ。絶対断られるって。」

私はそっと律さんの手を握った。あの日のことを、静かに思い出す。
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