御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「ズボラなだけじゃ……?」

「……否定できない。」

少し照れ臭そうに頭をかいた律さんに、私は笑った。

だけどこの空間からは、律さんの性格がよく伝わってきた。

合理的で、でもどこか遊び心がある。

そして何より――

「ねえ、ベッドふたつあるの?」

「うん。最初は一人用だったんだけど、急遽もう一台追加した。」

「なんで?」

「千尋が来るかもしれないって思ったから。」

律さんの言葉に、胸がじんとした。

まだ私たちは出会って間もない。

それでも彼は、ちゃんと“ふたりで暮らす未来”を思い描いてくれていたんだ。

ベッドのシーツに手を伸ばしながら、私は小さく呟いた。

「じゃあ……一緒に、ここで暮らそうか。」

律さんが笑顔で頷いた。

「もちろん。千尋の居場所は、もうここだから。」

私は嬉しくなって、くすっと笑った。

「ねえ、テレビ置こうよ。」

ベッドの奥、ちょうど棚になっているスペースを指差して言うと、律さんは「あ、それな」と手をパチンと鳴らした。
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