御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
夜がやってきた。

「俺、いつも窓側のベッド使ってるんだけど、千尋はクローゼット側のベッドでいい?」

「いいよ。」

お風呂上がりの体をタオルで拭いて、私はそっと布団に入った。

ふかふかのマットレスに身を預けると、なんだか緊張する。

隣を見ると、律さんも同じタイミングで布団に入り、ベッドの上で少しだけ体を起こしていた。

「ねえ、これって……」

私はつぶやいた。

「なに?」律さんが顔を向ける。

「ううん……」

私はごまかすように天井を見上げた。

──今まで、元カレが泊まりに来てくれた時は、セミダブルのベッドにふたりで一緒に寝ていた。

狭くて、少し窮屈だけど、それが当たり前だった。

だけど今は、広い寝室にベッドがふたつ。

しかも、それぞれ別のベッドで眠るというこの距離感。

二人でいるのに、少しだけ寂しい。

夫婦なのに、一緒の布団じゃないって……少し変だな。
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