御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
だけど、それは律さんの気遣いなんだろう。

入籍したからといって急にすべてを共有するわけじゃない。

ちゃんと私の気持ちを大切にしようとしてくれている。

その誠実さが、かえって胸に染みる。

私はそっと目を閉じた。

──たとえ今夜、隣にいなくても。

私はこの人と、夫婦になったんだ。

ふと布団がめくれた。「ん?」

横を見ると、律さんが私の布団に入って来た。

「新婚らしいこと、する?」

そう言って、私を優しく抱き寄せる。

腕枕をしてくれた律さんの胸に、そっと頭を預けた。

くすぐったいくらいの近さ。でも、心地いい。

「俺、いつもセミダブルのベッドで一人で寝てたから、千尋の部屋に泊まったとき、なんか新鮮だったんだよね。」

律さんの手が、私の髪をふわりと撫でる。

「こうやって体を寄せて寝るって……本当の“番い”みたいだな。」

「番い……?」

「うん。一生を添い遂げる相手のこと。俺は千尋と、そういうふうになりたい。」
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