御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
胸の奥が、ぎゅうっとなった。

こんな風に、さりげなく、でも真っ直ぐに想いを伝えてくれる人なんだ。

「私も……なりたい。」

そう呟くと、律さんがそっと額にキスを落とした。

「嬉しい。じゃあ今日から、俺たちは本当の番いだ。」

微笑むその顔が近づいて、そっと唇を重ねられた。

深くはない、けれど確かな約束のキス。

──この人となら、きっと大丈夫。
そう思えた夜だった。

朝になると、律さんの姿は寝室になかった。

まだ少しぬくもりの残る布団。横を見ると、律さんが眠っていた跡がはっきりと残っている。

──朝まで一緒に寝てくれたんだ。

なんだかそれだけで、心がふわっと温かくなる。

欠伸をしながら寝室を出て、キッチンに向かうと、そこにはエプロン姿の律さんがいた。

「おはよう、朝食できてるよ。」

「ええっ⁉」驚きに思わず声が出る。

ダイニングテーブルを見ると、ハムエッグとトースト、彩りのサラダにヨーグルトまで並んでいた。
< 61 / 252 >

この作品をシェア

pagetop